沖縄で中古車を探していると、ここ数年で「値段が上がった」と感じる方が多いのではないでしょうか。
確かに2020年ごろまでは、沖縄は“中古車が安い地域”として知られていました。
しかし2025年の今、その状況は大きく変わりつつあります。
なぜ、これまで安かった沖縄の中古車が変化しているのか。
その背景には、全国的な流通変化と、沖縄特有の事情が重なっています。
1. 全国的な“中古車高騰”の波が沖縄にも届いた
2022年以降、新車の納期遅れが全国的に問題となり、中古車の需要が急増しました。
自動車流通研究所のデータによると、全国平均の中古車価格は2021年から2024年の3年間で約26%上昇しています。
特に人気の軽自動車やコンパクトカーは高騰し、2025年も高止まりの状態が続いています。
沖縄も例外ではありません。
かつて本土より10万円ほど安かった相場は、今ではその差が3〜5万円程度に縮まっています。
| 年 | 全国平均価格(万円) | 沖縄平均価格(万円) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 135 | 122 | -13 |
| 2023年 | 170 | 163 | -7 |
| 2025年(推定) | 180 | 175 | -5 |
このように、沖縄の「地元優位」だった中古車価格は、徐々に全国水準へ近づいています。
2. “本土仕入れ車”の人気が上昇している
2025年の沖縄市場で注目されているのが、「本土仕入れ車両」です。
これは、九州や関西などで使われていた中古車をオークション経由で沖縄に持ち込み販売する方法で、サビや塩害が少ないのが特徴です。
特に人気車種は、
- ホンダ N-BOX
- ダイハツ タント
- トヨタ アクア
- スズキ スペーシア

といった燃費の良い軽・コンパクトカー。
これらは仕入れコストがかかっても、状態が良いため「すぐ売れる」傾向にあります。
実際に、沖縄県内の販売店では展示車の約30〜40%が本土仕入れ車となっており、地元車より高めの価格帯でも選ばれるケースが増えています。
3. “高く売れる時代”がやってきた
中古車価格が上がっている今、買取相場も上昇しています。
特に、走行距離が短く、内外装がきれいな車は2年前より10〜20万円高く売れることもあります。
| 車種 | 2023年平均買取価格 | 2025年平均買取価格 | 上昇額 |
|---|---|---|---|
| N-BOX | 約95万円 | 約110万円 | +15万円 |
| タント | 約88万円 | 約104万円 | +16万円 |
| フィット | 約75万円 | 約90万円 | +15万円 |
沖縄では「車を長く乗る文化」が根付いていましたが、2025年は“高く売れるうちに買い替える”動きが目立ちます。
買取価格が上がっている今だからこそ、買い替えのチャンスでもあります。
4. 輸送コストと在庫リスクをどう乗り越えるか
一方で、沖縄特有の課題もあります。
それが「輸送コスト」と「在庫リスク」です。
本土から車を仕入れる際、1台あたり約5〜8万円の輸送費が発生します。
さらに、船便のスケジュール遅延や天候の影響で納期がずれることもあり、販売店側のリスクが増えています。
しかし近年では、輸送をまとめて行う共同仕入れや、販売前に顧客から注文を受けてから仕入れる「オーダー販売方式」が広まり、リスク分散が進んでいます。
この仕組みによって、実質的な値上げを抑えながら安定した価格で販売できるようになりました。
5. 今後の沖縄中古車市場のキーワードは“回転率”
2025年以降の沖縄中古車市場を動かすポイントは、「早く仕入れ、早く売る」という回転率です。
在庫を長く持つほどコストが増えるため、スピード販売を重視する店舗が増えています。
また、オンライン査定やLINE査定など、非対面での「スピード買取」も定着しつつあります。
これにより、ユーザー側も“気軽に価格を知って、売るタイミングを決める”という動きが増えました。
2025年の沖縄中古車市場は、
- 本土仕入れ車の増加
- 買取相場の上昇
- 販売スピードの加速
この3つが重なり、大きく変わろうとしています。
沖縄の中古車市場は「安い地域」から「選ばれる地域」へと変化しています。
車を売る側も、買う側も、この流れを理解して動くことが、2025年を賢く乗り切る最大のポイントです。
そして、相場の波を読める人こそ、次の一台で“値下げに頼らない満足感”を手に入れられるはずです。


