「決算時期はクルマが安い」
一度は耳にしたことがある、このセリフ。
でも本当にそうでしょうか?
たしかに、多くの中古車販売店が「決算セール」や「在庫一掃セール」を実施しています。
しかし、表面的な“値下げムード”に惑わされてはいけません。
この記事では、中古車販売の裏側を、数字と現場目線で解き明かしていきます。
決算セールは「全ての車が安い」とは限らない
まず大前提として、決算セールで「全車値下げ」しているわけではありません。
実際には、値下げ対象になるのは売れ残りや回転の遅い車が中心です。
例えば、ある業者オークションのデータによると、
3月(年度末)に出品された中古車のうち、
販売価格が前月より5%以上下がった台数は全体の約12%に過ぎません(※当社調べ)。
つまり、8割以上の車は値段据え置き、またはむしろ微増していることも。
「決算で全部安くなる」
というイメージだけで動くと、本来の相場より高く買ってしまうこともあるのです。
なぜ「安い」と思わされるのか?
決算期にセールを打ち出す理由は、以下の2つです。
- 売上の帳尻合わせ
年度末は「売上目標を達成したい」という販売店の“事情”が働きます。
売れ残った在庫車は値下げ対象になりますが、
人気車種はむしろ強気な価格設定がされていることもあります。 - 値下げ=得という心理誘導
「値下げしました!」と書いてあるとお得感がありますが、
実際は「元の価格設定が高かっただけ」という場合も。
たとえば
- もともと市場相場100万円の車を110万円で掲載
- 決算セールで「10万円値下げ!」して100万円に
- 実際は相場通りに戻っただけ
これ、よくある手法です。
お得な決算セールの見極め方

では、どうすれば「本当にお得な1台」に出会えるのか?
ポイントは以下の3つです。
① 車両本体価格より総額で判断する
「支払総額」で見て、登録費用や整備費用が不自然に高くなっていないか確認しましょう。
② 他の月と比較してみる
たとえば2月や4月と価格を比べてみると、「あれ、そんなに安くない?」という気づきがあるかもしれません。
③ 値下げ交渉の余地を見極める
決算期でも、交渉の余地がある車両とそうでない車両があります。
「この車、長く置いてますか?」というひと言が、値下げの引き金になることも。
現場目線:実際の販売体験より
過去に、当社で扱った軽コンパクトカー(平成30年式・走行5.5万km)
仕入れ価格は63万円、ネット掲載は69万円で2ヶ月経過。
決算期に入り「値下げして回転を上げよう」と、支払総額68万円に変更。
そのタイミングで来店されたお客様は、「決算だから安くなると思って…」と正直にお話され、
即決でご成約となりました。
実はこの車、3月を過ぎたら税金や在庫管理費がかさむリスクもあり、こちらとしても「決めてくれてありがたい」1台でした。
本当の「得」は、タイミングより“目利き力”
「決算セールだからお得」と思い込むのではなく、
その車が本当に自分にとって価値のある1台か?を見極めることが大切です。
✓ 走行距離に対して価格が適正か
✓ 整備内容や保証の有無
✓ 下取り(買取)価格とのバランス
これらを総合的に判断して「納得のいく買い物」ができたとき、
それがあなたにとっての“即決して良かった中古車”になります。
まとめ:迷う前に、相談できるお店があるか?
もしあなたが「得したい」「損したくない」と考えているなら、
ネット情報だけでなく、実際に信頼できるお店で相談してみることをおすすめします。