中古車・新車市場に起こる3つの“値動き”
2025年、アメリカが自動車の輸入関税を一律15%に統一する方針を発表したことで、日本の自動車業界も大きな影響を受ける可能性があります。特に中古車・新車の価格、買取相場、流通量の変化は無視できません。
この記事では、中古車販売を行う立場から、関税15%が日本の市場に与える影響と、40代以上の車購入・乗り換えを検討している方に「どんな行動をすれば得か?」をわかりやすく解説します。
なぜ関税15%が話題なのか?
これまでアメリカでは、日本からの自動車に対し2.5%の関税がかけられていました。
それが15%に引き上げられると、日本車は「アメリカで売りにくくなる」というわけです。
自動車メーカーや大手輸出業者は、アメリカへの出荷コスト上昇により海外向け新車・中古車の供給を減らすか、価格に上乗せする必要が出てきます。
影響1:中古車の“仕入れ価格”が上昇する可能性
アメリカは日本車の輸出先として非常に大きな市場。
2023年時点で日本からアメリカへの中古車輸出台数は約14万台/年(日本貿易振興機構:JETRO調べ)。
この関税上昇により、
- アメリカ向け輸出が減る
- 海外向け価格が下がる
- その分、日本国内に多くの中古車が残る
という見方もありますが、実際には「アジア圏に再分配されるだけ」という可能性も高く、国内の中古車在庫は変わらず、むしろオークション仕入れ価格が上がる傾向になると予想されます。
特に走行距離が少ない軽自動車・ハイブリッドカーなどは、世界中で需要が高く、価格の上昇圧力がかかりやすいカテゴリーです。
影響2:「買取価格」が一時的に下がるリスクも
輸出を前提に仕入れを行っている業者は、関税の影響を直接受けます。
これまでアメリカ向けに高く売れていた車両が、急に売れなくなる=相場が下がるというケースも考えられます。
特に注意したいのは以下のような車種
車種カテゴリ | 影響が出やすい理由 |
---|---|
フルサイズSUV | アメリカ向け需要が多い |
左ハンドル車 | 国内では需要が限られる |
V6エンジン搭載車 | 海外人気が高いが国内では不人気 |
仮にこのような車を今持っている場合、買取価格の“値下げ”が避けられない可能性があります。
影響3:新車の納期が伸びる?サプライチェーンの混乱も
トヨタ・ホンダなどの大手メーカーがアメリカ市場への輸出戦略を見直すと、生産ラインの再調整が必要になります。
これにより、国内向け新車の納期が延びる可能性も考えられます。
結果的に、
- 新車待ちのストレスが増える
- 代車やサブカーとして中古車需要が一時的に上がる
という波も出るでしょう。
影響を受けるのは誰か?
今回の関税見直しで最も影響を受けやすいのは、
- 輸出向けの車を持っている方(買取価格が下がる)
- 新車を検討していた方(納期遅延)
- 売却・乗り換えを数年以内に考えている方(タイミング次第で損得が大きく変わる)
つまり、今まさに車を「買う・売る」検討をしている方が最も注意すべきなのです。
では、どう動くべきか?3つのポイント
- 今の愛車の価値を知る
→ 関税前後でどのくらい変化するかを見ることで売却タイミングの判断材料に。 - 「輸出向け」と「国内需要向け」の車種を見極める
→ 国内向けに需要が高い軽・コンパクトは価格安定傾向。 - 保証付きの中古車を早めに検討
→ 新車の納期不安から中古車に移行する層が増えると価格上昇リスクあり。
影響は“静かに”始まっている
アメリカとの関税変更は、「遠い国の話」ではなくすでに中古車相場や買取価格にじわじわと波を広げています。
将来的に「値下げ」や「納期遅れ」など、目に見える形で出てくる可能性は十分にあります。
だからこそ、今のうちに
・相場を知る
・プロに相談する
・早めに動く
といった準備をしておくことで、“損しない選択”ができるのではないでしょうか。