「エンジン音で査定額が下がる」——これは決して大げさな話ではありません。
中古車査定の現場では、査定員が最初に行う確認のひとつが「エンジン始動時の音」。アイドリング中やアクセルを踏み込んだ際のわずかな異音から、車の状態を推測することができるのです。
つまり、売却前にこのポイントを見直しておくかどうかで、数万円〜十数万円の差が生まれる可能性があります。
なぜ「音」で査定額が変わるのか?

査定員はプロです。長年の経験から「正常なエンジン音」と「異音」を聞き分けることに長けています。
例えば以下のような音は要注意です。
- カラカラ音:エンジンオイルの劣化や不足
- キュルキュル音:ベルトの劣化や緩み
- ゴロゴロ音:ベアリングや補機類の摩耗
- ガタガタ音:マウントの劣化や振動吸収部品の損傷
これらの音があると「整備費用がかかりそう」と判断され、査定額から修理見積もり分を引かれるのが一般的です。
データで見る「音」が与える影響
日本自動車査定協会(JAAI)の資料によると、査定減点の理由で多いのは以下の通りです。
減点理由 | 全体に占める割合 |
---|---|
外装キズ・ヘコミ | 45% |
走行距離 | 20% |
内装の状態 | 15% |
エンジン・機関系 | 15% |
その他 | 5% |
この「エンジン・機関系」の多くが異音やオイル漏れによるもの。
仮に査定時にエンジン異音を指摘された場合、平均で5万〜10万円の減額がつくケースも少なくありません。
売却前にやるべき整備チェック3選
① エンジンオイル交換
オイルが劣化すると金属摩耗音が出やすくなります。
売却前1〜2週間以内に交換しておけば、エンジン音がスムーズになり査定員の印象も改善されます。
(費用:3,000〜6,000円程度)
② ファンベルトの点検・張り調整
キュルキュル音はベルトの緩みが原因の場合が多いです。ディーラーや整備工場なら簡単に調整できます。
(費用:点検・調整 2,000〜5,000円程度)
③ エアクリーナー交換
吸気が汚れているとエンジン音がこもりがちになります。フィルターを交換するだけで音が軽くなり、燃費改善にもつながります。
(費用:2,000〜4,000円程度)
実体験:音を直しただけで査定額アップ
以前、あるお客様が10年落ち・走行12万kmのコンパクトカーを売却されました。
最初の査定では「エンジンからカラカラ音がする」と指摘され、12万円の提示。
しかし、その後エンジンオイルとベルト交換を行い、再査定を依頼したところ
結果は 18万円。わずか1万円程度の整備費用で、6万円アップにつながりました。
まとめ:売却前の「静けさ」が未来を変える
中古車の査定は「第一印象」が非常に大切です。
ボディのキズだけでなく、耳で感じる安心感が値段を大きく左右します。
- エンジンオイルは交換済みか
- ベルトの鳴きはないか
- 不安な音は整備で改善できないか
これらをチェックするだけで、査定額が数万円単位で変わる可能性があります。
売却前に少し整備しておくことで、次のオーナーにも安心して乗ってもらえる。
そして何より、自分の車の価値を正しく評価してもらえる未来が待っています。
「エンジン音はごまかせない」——これは業界のリアルです。
だからこそ、売却前のひと手間が最高の“値上げ交渉”になるのです。